標準のPS5でも使えるAIアップスケーリング。
- QSSRは、標準のPS5向けのAIアップスケーリング。対応は『Marvel's Wolverine』『Ghost of Yōtei』の2本のみ(10月3日時点)で、持っているならアップデートで試せる
- PS5 Proとの差は、画質の安定感などは近づく一方、GPU性能(約67%差)やレイトレーシング時のフレームレートなどは埋まらない。日本の価格差は約8.3万円(PS5 55,000円 vs PS5 Pro 137,980円)
- 筆者試算では、QSSRの負荷はフレーム時間の約9〜11%(60fps・1440p出力)。30fps狙いなら約4.5〜5.4%と、相対的に軽くなる。GTA6の対応は未発表
PlayStationが、PS5 Pro以外の標準のPS5向けにAIアップスケーリング技術「QSSR(クイックスペクトルスーパーレゾリューション)」を発表しました。対応ゲームは、『Marvel's Wolverine(マーベル ウルヴァリン)』と『Ghost of Yōtei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)』の2本。
この記事では、「日本の価格で考えると、QSSRで何が変わって、何が変わらないのか」をダダっと整理していきます。


QSSRってなに?
SIEがPS5 Proの「PSSR」の派生版として発表した「Quick Spectral Super Resolution(クイック・スペクトル・スーパー・レゾリューション)」は、通常版PS5でもAIによるアップスケーリングを実現できる新世代AIアップスケーリング(超解像)技術。
どのゲームソフトで使えるのか、QSSRとPSSRの違いはどうなのか、気になる点もいくつかありますが...要点をまとめると以下の通り。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | Quick Spectral Super Resolution(QSSR) |
| 位置づけ | AIアップスケーリングの「新しい性能ティア」。PS5 Proの「PSSR」は引き続き「ゴールドスタンダード」(Sony) |
| 仕組み | 効率化したニューラルネットワークと、PS5向けに最適化した実装(標準のPS5にはAI専用ハードがない) |
| 対応ゲーム | 『Marvel's Wolverine』『Ghost of Yōtei』(10月1日のパッチ。日本の報道では10月2日) |
| 対応の仕方 | ゲームごとの設定。PS5本体のアップデートだけでは、他のソフトは変わらない |
| 今後 | 全てのPlayStation向け開発者に提供予定。PSSR対応済みのゲームは移行しやすい(Sony) |
つまり、QSSRは「Proを買わなくてよくなる技術」ではなく、「標準機でも、対応ソフトなら画質の底上げが得られる技術」という位置づけですね。
ここからは、項目ごとに詳しく見ていこうかと思うので、気になるところだけでもぜひ参考に。
日本の価格で考える|QSSRで「埋まる差」と「埋まらない差」
筆者が一番気になったのは、「QSSRで、標準のPS5とPS5 Proの差はどれくらい縮まるのか」。
| モデル | 価格(日本) |
|---|---|
| PS5 デジタル・エディション 日本語専用 | 55,000円 |
| PS5 Pro | 137,980円 |
| 差額 | 82,980円(新作ソフト約9本分。8,980円換算) |
価格は上記の通りですが、約8.3万円の差をQSSRでどこまで埋められるのか?を整理すると、次のようになります。
- 埋まりやすい差(対応ソフトに限る)
- 映像の安定感(ちらつきの減少)や細部の描写。
- Digital Foundryの検証では、Marvel's Wolverineで特に大きな向上が見られた
- 埋まらない差
- GPU性能(約10.28TFLOPS→約16.7TFLOPS、約67%もPS5 Proのほうが上)
- レイトレーシング使用時のフレームレート
- PSSR自体の上位性(Sonyが最上位と位置づけ)
- 対応ソフトの数(QSSRは2本、PSSRは2024年以降に多数)
レイトレーシング使用時のフレームレートについては、最近の実例があります。
先日発売された「ウィッチャー3 ワイルドハント リマスター」では、PS5 Proはレイトレーシングモードを60fps(PSSR対応)で遊べる一方で、標準のPS5のレイトレーシングモードは、フレームレートが低めになります。
QSSRはまだこのゲームには入っていませんが、仮に入ったとしても、「レイトレーシングを60fpsで使える」という差は、GPU性能の差が効いてくるので埋まりにくいはず(ここは筆者の推測です)。
ウィッチャー3リマスターの評価・価格・機種別の違いは以下の記事でまとめているので...こちらも目を通してもらえれば。

試算|30fpsのゲームほどQSSRの負荷は軽くなる
ここからは筆者の試算です。
Digital Foundryは、Wolverineで、QSSRの処理が従来のアップスケーラーより、1440p出力で1フレームあたり約1.5〜1.8ms、4K出力で約4.4ms増えると計測したと報じていますが、この「ms(ミリ秒)」を、フレームレート別に「1フレームの時間に占める割合」に直してみました。
| 目標fps | 1フレームの時間 | 1.5〜1.8msの割合(1440p出力) | 4.4msの割合(4K出力) |
|---|---|---|---|
| 60fps | 16.7ms | 約9〜11% | 約26% |
| 40fps | 25ms | 約6〜7% | 約18% |
| 30fps | 33.3ms | 約4.5〜5.4% | 約13% |
同じ「1.5〜1.8ms」でも、30fpsのゲームのほうが、フレーム時間に占める割合は半分ほどに下がります。つまり、重いゲームで30fpsを狙うタイトルほど、QSSRの追加負荷は相対的に小さく済む...という見方もできそうかなと。
ただし、計測値はWolverine(特定の解像度)のもので、ゲームや設定によって変わること、実際のゲームは、動的解像度などで負荷を調整するため、単純な足し算にはならないことには注意が必要です。
「負荷の重さを、フレームレート別に見るとどうなるか」という整理になっているため、あくまでも参考程度に。
QSSRのために、ソフトを買う価値はある?
お次はQSSRのためにソフトを買うべきか?について。
記事公開時点でのQSSRに対応するソフト一覧と価格は以下の通りです。
| ソフト | 価格(日本・税込) | 備考 |
|---|---|---|
| Marvel's Wolverine(スタンダード) | 8,980円 | 9月15日発売。CEROレーティングはZ(18歳以上のみ対象) |
| Ghost of Yōtei Complete Edition | 8,980円 | 10月1日発売。本編と拡張DLCなどを収録 |
| Ghost of Yōtei Complete Edition アップグレード | 1,480円 | 本編を持っている人向け(DLCの追加分) |
QSSRのためだけに、約9千円のソフトを買うのは...おすすめしにくいかなと。
一方で、もともと遊ぶ予定があった人にとっては、「アップデートで画質が上がるおまけ」が付く形です。
ちなみに、Ghost of Yōtei本編を持っている人は、Complete Editionのアップグレードを買わなくても、QSSRはアップデートで追加されるとのこと(アップグレード1,480円は、新しい拡張DLCの分です)。
GTA6はQSSRに対応する?
さて、そうなるとすごく気になるのは「GTA6はQSSRに対応するのか?」ってところ。
結論から言うと...記事公開時点では発表されていません。
SNSなどでは「GTA6が標準のPS5できれいになるのでは」という期待も出ていますが、Rockstar GamesやSonyから、GTA6のQSSR対応についての公式な言及は、筆者の確認した範囲では見当たりませんでした。
根拠のない筆者の印象では、GTA6とPlayStationは密接にプロモーションしていたように感じますし、仮に対応するとすれば、上の試算で見たとおり、30fpsを狙うタイトルでは、QSSRの負荷が相対的に小さく済む可能性はあります。
GTA6の標準PS5での画質・フレームレートについては以下の記事でまとめているので、こちらも目を通してもらえれば。

まとめ|QSSRは標準PS5の「底上げ」。ただ、Proとの差が消えるわけではない

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が発表したPlayStation 5(PS5)向けの新世代AIアップスケーリング(超解像)技術「QSSR」についてダダっとおさらいしてきましたが、ポイントは以下の3つ。
- QSSRは、標準のPS5向けのAIアップスケーリング。対応は『Marvel's Wolverine』『Ghost of Yōtei』の2本のみで、ゲームごとの対応
- PS5 Proとの差は、画質の安定感などは近づくが、GPU性能やレイトレーシング時のフレームレートなどは埋まらない。日本の価格差は約8.3万円
- 30fps狙いのゲームほど、QSSRの負荷は相対的に軽い(筆者試算)。GTA6の対応は未発表
標準のPS5と対応ソフトを持っている人はアップデートで手軽に試せるので、一度遊んでみるといいかもです。

よくある質問|FAQ
QSSRってなに?
標準のPS5向けのAIアップスケーリング技術です。PS5 Proの「PSSR」から派生した軽量版で、映像の細部の鮮明さと安定感を高めます。
QSSRに対応しているゲームは?
10月3日時点で、『Marvel's Wolverine』と『Ghost of Yōtei』の2本です。Sonyは、今後、全ての開発者にQSSRを提供する方針ですが、対応タイトルの追加はまだ発表されていません。
標準のPS5からPS5 Proに買い替える必要はない?
QSSRで画質面の差は縮まりますが、GPU性能の差は残ります。また、対応ソフトはまだ2本だけです。遊びたいソフトが対応するかを見てから、判断しても遅くないと筆者は考えています。
QSSRを使うとフレームレートは下がる?
処理負荷は増えます。Wolverineの検証では、1440p出力で1フレームあたり約1.5〜1.8ms増でした。ただし、60fpsモードでは動的解像度で負荷が吸収されるため、フレームレートはほぼ同じまま画質が向上しているとのことです。
GTA6はQSSRに対応する?
残念ながら...現時点では未発表です。続報を待ちましょう。
※本記事は、PlayStation Blogの発表内容を、Engadget・PC Guide・Realsoundなどの報道を経由して確認し、構成しています。Digital Foundryの検証内容も、各報道を経由した内容です。国内価格は、GAME Watch・4Gamer・ASCII.jpなどの報道、当サイトの各記事に掲載の数字をもとにしています。

